2014/03/22

Hermes of the "rive droits", Arnys of the "rive gauche".

ようやく春を感じさせてくれる季節になりましたが、巷では未だにダウンを着て、残りわずかな寒気を凌いでおります。
本当にこの国の気候はどうしてしまったのでしょう。

春夏素材も充実しており、この寒暖差の中でも多数のご注文を頂いております。 ありがとうございます。




長谷川喜美氏著書、「夢を叶える パリのタイユール 鈴木健次郎」 を精読しまして、

フランスのタイユール(テーラー)業界に非常に関心を抱きました。 鈴木氏のどこまでもストイックで飽くなき探究心と、夢を諦めない強い心に胸を打たれた次第であります。

ネクタイ FAIRFAX  ¥10,000 (税抜き) 

著書の中で度々出てきました、メゾンブランド、エルメスアルニスとの関連性がすごく気になりました。




「右岸のエルメス、左岸のアルニス」




こんな言葉があります。

以前パーソナルカラー診断をして頂いた際、あなたは夏色でもなく、冬色でもない、どちらかといえば秋色が一番適していると言われました。

アルニスのネクタイ、特に人気のプリントタイはシーズンで30種類のデザインで40本しか制作しないそうです。これも1つの拘りでしょうか。以前から色柄がうっとりするぐらい素晴らしいと思っていました。

そのこともあってか、私の勝手なタイユールに対するフランスのカラーは、ビビッドでもなくパステルでもない抽象的な色という印象です。パッと表面に出る色ではなく、どこか控えめで何かを仄めかしている、くすんだカラー。内にまだ何かを秘めているのでは?と思わせる、もっと追求したくなるカラーリングです。 シャルベに関しては、右岸ですのでアルニスとは違い、ビビットなカラーが多い気がします。






グレーのラインがセーヌ川。

セーヌ河は、パリをほぼ南北に二分して東から西へ流れ、街を外れたところで大きく蛇行して北に向かって流れています。 
地図で分かりやすく説明すると、右側から上流なので、右から左に河の流れがあり、進行方向から見て右が右岸(地図上)、左が左岸(地図下)。凱旋門側がエルメスで、エッフェル塔側がアルニスになりますね。


今も昔も、右岸が非常に華やかな印象ではあります。
凱旋門からのシャンゼリゼ通り、コンコルド広場周辺、フォブール・サン・トノレ通りやモンテーニュ大通りには、名だたるブランドが所狭しと並んでおりました。ルーブル美術館も右岸ですし、経済の中心も右岸側ではないでしょうか。
私も観光程度でしか訪れたことはありませんのでそこまで詳しくありませんが、主要な場所はすべて右岸に集約しているような気がします。
一方、左岸にはエッフェル塔に行く際に訪れた程度です。



セーヌ川を境に、暗黙の境界線があるようにも見受けられます。

ロンドンではテムズ川、日本ではお城を軸に、城下町と農民の町?ですかね。


下記のパリの右岸と左岸対比を見て頂くと一目瞭然です。

「貴族社会 vs 庶民社会」

「ブルジョワ文化 vs 学生文化」

「保守陣営 vs 革新陣営」

「古典 vs 前衛」

「経済 vs 文化」

「金銭 vs 芸術」

アルニスがなぜエルメス程の認知度が無いにもかかわらず、絶大な支持があるのか、行政上の法律で決められた区分では理解し難い、暗黙の構図があったということですかね。


非常に面白い国だなと感じました。





PARIS from Michael Marygin on Vimeo.







あなたは、右岸派?それとも左岸派?














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2014/03/14

Fonts possess influence and presence.

3月ですが、まだまだ寒い日が続いております。いかがお過ごしでしょうか。
この峠を越えると春がやってくるそうですが、如何せん3月といえば春夏素材の展開真っ最中ですので、この寒さで市場の認識が鈍くなりスタートダッシュがクッパ並みです。のんびり行きましょう。











ここ数年は各媒体を通して、写真の編集や広告デザイン作成をすることが多いのですが、BELGRAVIAから発信する媒体はほぼ自社で制作させて頂いております。

主にadobeを使うことが多いのですが、さすがに壁にブチ当たる事も多々有りましてこんな商材があったらいいのに・・・なんてことはザラにあります。

特に多かったのがFont(字体)です。


今まで意識はしていなかったのですが、Fontに関して掘り下げていくうちに非常に興味深いことが多くて、普段の視点がフォントに目がいってしまい、「あれは確かあのフォントだな」なんてことが日常茶飯事になってきました。病気です。

以前、ヘルベチカ(Helvetica)のことでブログを書いたことがありました。※このブログのローマ字は全てヘルベチカです。






知ってましたか? ロンドンの地下鉄で使用されているこのFont、実は日本人が作っていたこと。





ロンドンに訪れたことのある方なら、誰でも知っている ''赤丸と青横棒'' のチューブ・マーク。 これらのデザインは当時、ロンドン交通局の電子回路の技術者として働いていた Henry C. Beck (ヘンリー・ベック) 氏により、まさに電子回路を基にデザインされたそうです。




駅名を示すチューブ・マークやマップ、「Way Out (出口)」や「No Smoking (禁煙)」など、駅構内の看板全てのフォント (字体)が統一されております。
 実はこの文字、『Johnston (ジョンストン)』、または『Johnston Sans (ジョンストン・サンズ)』と呼ばれる地下鉄制定書体に基づいており、1913年に Edward Johnston (エドワード・ジョンストン) 氏によって作られたものです。 


Edward Johnston, quill in hand


駅名の表示などを覚えやすく認識しやすいこと、そして環境に良く馴染むものという依頼を見事に具現化したこのフォント。ヘルベチカよりも以前の話なんですね。凄いですこのお方・・・





河野英一氏

そして1979年、イギリス在住日本人グラフィック・デザイナー、河野英一氏により『New Johnston』が生み出されました。いわゆるリニューアルバージョンです。
歴代の資料から調査を開始し、Gill Sans や Helvetica などの太さ数値の関係性を比較しながら、全て手書きで制作したそうです。そして現在、ロンドンの地下鉄の駅名表示・標識など、各種印刷物で使用されているフォントは全て『New Johnston』です。 これら書体は、未だ地下鉄制定書体として登録されてますので、一般では使用出来ないようになっているようです。




河野氏当時のスケッチデザイン画




また河野氏は近年、Meiryo (メイリオ) という新しい日本語のフォントを制作し、Windows Vista に搭載されています。




日本人は要所要所でいい仕事をしてくれますね。大変誇らしいです。緻密に計算された無駄のないフォントの制作には、ある程度の頭脳が必要な気がします。

Web制作やデザイン関連のお仕事をされている方なら、フォントの持つ重要性は重々お分かりだと思います。ですが、一般的にはあまり意識していない分野です。読めればいいと思ってる方が大半だと思います。

しかし、フォントだけでイメージが180度変わるのも事実です。 

いやー、フォントは調べば調べるほど面白い。













London Underground - 150 years from Soluis on Vimeo.





















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2014/03/09

Spring & Summer 2014 Fabrics in Stock.

3月9日(本日)の日付けをネットで調べた所、「1974年 - 志村けんが、ザ・ドリフターズの正式メンバーとなる。」という非常にどうでもいい冒頭からブログ始まります。


春夏の素材がほぼ出揃いました。
今年の夏もまた猛暑となるのでしょうか。非常に不安ではありますが、インポートの生地を一部ご紹介致します。



 HARRISONS of EDINBURGH  "SUNBEAM" [MADE IN GREAT BRITAIN]
260gms-280gms 
80% SUPER 100's MERINO WOOL
20% SILK
▲スタンダードライン シングルJKT  ¥77,000〜 (税抜き)
▲セミハンドライン シングルJKT  ¥90,000〜 (税抜き)



プレミアムサマージャケット地"サンビーム"は、上質なウールとシルクから紡がれた糸を使用し、凹凸感があり通気性に優れたメッシュ状の組織へと織り上げられています。滑らかな肌触りゆえに繊細な服地と思われがちですが、緯(横)糸にも双糸を使用している為、しっかりとした「コシ」が備わっています。仕立て上がったジャケットに際立つ洗練された佇まいと抜群の清涼感は、盛夏に於いても気品ある着こなしを求められるエグゼクティブの方々にも、きっとご満足いただけることでしょう。




雲の切れ間から見え隠れする日差しをイメージしたような非常に綺麗な素材です。 
ウールとシルクの絶妙な混紡が、まさに光のカーテンのように上品且つ光沢感を演出します。
通気にも富んでおり、陽気な日差しの中で軽快に着こなしが出来る一品でしょう。
夏のジャケットスタイルにも最適です。








  HARRISONS of EDINBURGH   "MIRAGE" [MADE IN SCOTLAND]
280gms-290gms
66% Wool 
22% Silk
12% Linen

▲スタンダードライン シングルJKT  ¥77,000〜 (税抜き)
▲セミハンドライン シングルJKT  ¥90,000〜 (税抜き)

ビジネスシーンだけでなくオフシーンでも気品ある装いが求められるエグゼクティブのために生み出されたこの生地は、適度なリラックス感とシルク・リネンの美しい風合いを併せ持ち、(春〜秋の)3シーズンに亘り着用可能です。
「スマートカジュアル」の着こなしにも最適な、ハリソンズからの新しい提案です。」



ブラウンに程よいブルーが入り交じり、お互いケンカすることなくなんとも言えない色に変貌し、非常に食欲をそそられる素材となります。 
いわゆる三織混」(さんしゃこん)と呼ばれる素材です。
シワになりにくい丈夫なウールの顔もあり、シルクのような上品な光沢感もあり、そしてリネン特有のネップ感とザックリした手触りを残した、3つの素材全ての特徴を併せ持ったラグジュアリーなジャケット素材となっております。




番外として、冬物もご紹介します。幾度となくブログにも登場しております、「LEAR BROWNE &DUNSFORD LTD  "OYSTER"」です。

 LEAR BROWNE &DUNSFORD LTD  "OYSTER"   Made in Huddersfield
ALL WOOL     400gms


コシがありながらも上質な柔らかな風合いを兼ね揃えた、「FINE CLASSICS」と「INTER⇔CITY」のまさに間のような素材です。


真夏でも需要のある素材ですが、やはりスーツと一緒で普遍的なモノはいつの時代もどの季節においても「普遍的」であり、むしろ「夏に冬物を作ってはいけないなんて誰が決めた?」ぐらいのストロングスタイルです。

当たり前のように過ごしてる日々こそ、実は当たり前ではなかったりもしますよね。オフシーズンに作るからこそゆっくり吟味し時間をかけていいスーツを作れるのかもしれません。来シーズンの為の準備をゆっくりじっくり考える。 
それが可能なのは、やはり「普遍的」な要素を持った歴史と格式のある素材だからこそ出来ることだと思います。



歴史といえば、先日ご来店頂いたお客様でスニーカーマニアの方がいまして、「コンバース オールスター」談義でかなり盛り上がりました。
私も昔からスニーカーが好きで、よく買ってきては「ムカデじゃないんだから」と嫌みを言われるくらいバカみたいに買っていました。 そのお客様は私の比じゃない所有数と、スニーカーに対する愛情すら感じました。





今回の非常に盛り上がった内容は、この上記のオールスターハイの違い。
例えば、縫製や使っている素材や仕様の違いなどなど・・・

この3つの違い分かりますか??




ヒントはこの写真です。笑

ヒールパッチを見てすぐ分かった方もいるでしょう?!


[左]
去年から展開しています「MADE IN JAPAN」製のオールスターハイ。こちらは2013年秋冬のネイビーのスエードです。今回はもう一色、「からし色」が展開となっております。

[真ん中]
コンバース チャックテーラー アディクト。 こちらも去年の最新モノで、全国のセレクトショップにて販売しております。
なんとソールは「ビブラムソール」を採用しおります。
残念ですが、インドネシア製となります。やはりコスト削減ですか。パッケージにお金掛け過ぎのような気がしてなりません。

[右]
こちらは一般的に出回っている市販のオールスターハイです。アディクト、MADE IN JAPANオールスターに比べるとキャンバス地は柔らかく、シューレースはナイロン製。 外の2つに関してはコットンシューレースでした。 これもまたインドネシア製。


マニアックなクライアントT氏曰く、「最近のコンバースはキレイ過ぎる」とのこと。
かつてUSA製全盛期だったあの頃、コンバースの作りはとても雑だった。でもあれがまた「いい味」があり良かったのだと言います。


スーツも平面的な作りより、立体的なビスポークが良いと言われておりますが、ミシンを使わない手縫いには機械程のキレイな直線を縫うことは不可能で、それを風合いや味と感じるのか、ミシンを使い合理的な服作りをある種の美学とお考えの方もいらっしゃると思います。


正解はありませんが、どこに重きを置くかでスタイルというのは変わってくるものだと確信しております。





CONVERSE (MASHUP) from Stewart Maclennan on Vimeo

























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