この峠を越えると春がやってくるそうですが、如何せん3月といえば春夏素材の展開真っ最中ですので、この寒さで市場の認識が鈍くなりスタートダッシュがクッパ並みです。のんびり行きましょう。
ここ数年は各媒体を通して、写真の編集や広告デザイン作成をすることが多いのですが、BELGRAVIAから発信する媒体はほぼ自社で制作させて頂いております。
主にadobeを使うことが多いのですが、さすがに壁にブチ当たる事も多々有りましてこんな商材があったらいいのに・・・なんてことはザラにあります。
特に多かったのがFont(字体)です。
今まで意識はしていなかったのですが、Fontに関して掘り下げていくうちに非常に興味深いことが多くて、普段の視点がフォントに目がいってしまい、「あれは確かあのフォントだな」なんてことが日常茶飯事になってきました。病気です。
以前、ヘルベチカ(Helvetica)のことでブログを書いたことがありました。※このブログのローマ字は全てヘルベチカです。
知ってましたか? ロンドンの地下鉄で使用されているこのFont、実は日本人が作っていたこと。
駅名を示すチューブ・マークやマップ、「Way Out (出口)」や「No Smoking (禁煙)」など、駅構内の看板全てのフォント (字体)が統一されております。
実はこの文字、『Johnston (ジョンストン)』、または『Johnston Sans (ジョンストン・サンズ)』と呼ばれる地下鉄制定書体に基づいており、1913年に Edward Johnston (エドワード・ジョンストン) 氏によって作られたものです。
Edward Johnston, quill in hand
駅名の表示などを覚えやすく認識しやすいこと、そして環境に良く馴染むものという依頼を見事に具現化したこのフォント。ヘルベチカよりも以前の話なんですね。凄いですこのお方・・・
河野英一氏
そして1979年、イギリス在住日本人グラフィック・デザイナー、河野英一氏により『New Johnston』が生み出されました。いわゆるリニューアルバージョンです。
歴代の資料から調査を開始し、Gill Sans や Helvetica などの太さ数値の関係性を比較しながら、全て手書きで制作したそうです。そして現在、ロンドンの地下鉄の駅名表示・標識など、各種印刷物で使用されているフォントは全て『New Johnston』です。 これら書体は、未だ地下鉄制定書体として登録されてますので、一般では使用出来ないようになっているようです。
河野氏当時のスケッチデザイン画
また河野氏は近年、Meiryo (メイリオ) という新しい日本語のフォントを制作し、Windows Vista に搭載されています。
日本人は要所要所でいい仕事をしてくれますね。大変誇らしいです。緻密に計算された無駄のないフォントの制作には、ある程度の頭脳が必要な気がします。
Web制作やデザイン関連のお仕事をされている方なら、フォントの持つ重要性は重々お分かりだと思います。ですが、一般的にはあまり意識していない分野です。読めればいいと思ってる方が大半だと思います。
しかし、フォントだけでイメージが180度変わるのも事実です。
いやー、フォントは調べば調べるほど面白い。
London Underground - 150 years from Soluis on Vimeo.
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